ジオラマの街

朝はいつも苦手
黒い天井を見上げ
まだわたしはあの人に気づかない

窓の外には
背の高いビルが犇めく
「なぜだか、もう何年もこの光景を
 ここに立って見ていた気がする。」

昨日できた店が今日は公園に変わった
「あぁ、空からあの人が見ている。」

あなたは鳥のように空を舞った
赦されないだろうか
未設定の口づけは

時刻通りに世界は夜だ
音も立てず、何回目のコンティニュー

窓の外には
知らない街が生まれた
「もういや。」

でも、ここには居場所があって
大好きなあなたもいたから

あなたは風のように雲を割った
赦されないだろうか
あの人に気づかれた

花束が散る、道路がえぐれ、時が止まる
コンソールのSEが聞こえる
あなたは男性Aに入れ替わった

「この記憶も壊して。
 バグまみれのこの体も、街も。」